2018年01月31日
the last time

昨年4月以来のブログ更新らしい。今は少しずつだけどまた僕の独り言を呟いていこう。

僕が駆け抜けたこれまでの日々はもうなんだか朧気で、変わらず誰も明日の太陽を約束なんてしてくれない。
人生のターニングポイントなんてとっくの昔に過ぎ去ってる。
太陽が焦がす島も、雨に打たれている植物も、台風の中息を潜めて過ごしてきた時間もたった一つの言葉でそれは記憶の宝物となる。
次から次へとホテル・民宿・民泊とまだまだオープンラッシュは続きてる中、僕はたくさんの素敵なゲストにまた出会うことができた。
また「おかえりなさい」をなんど言葉にしただろう。

人生が交差し、また責任という約束がそこに生じたとき、僕はずっと君の傍にいる。
クリエイティブな活動にも恵まれたけど、それはまた出口のない迷路の入口でもある。
三線を鳴らすと君は隣で踊ってくれる。

今この瞬間、思考も感情も愛情も成長も最後の時と思って、ゆっくり眠りにつこう。
僕はここで待ってます。
2017年04月26日
making Love

ここ数日風が回る。
新緑はまた芽吹き、蕾も大きく花弁を広げる。
check-in時に作るウェルカムドリンクは全て自宅の畑や敷地内で採れたフルーツ(島バナナ・グゥワバ・パパイヤ・パッションフルーツなど)と自家製ヨーグルトに手作りの酵素も少し使っている。旨いっと言って貰えるのが、話を始める嬉しいかけ声となる。




国籍の違う沢山のゲストと出会い、また僕も旅に出たくなる話を色々と聞かせて貰う。
懐かしいというには少し大げさかもしれないけれど、check-in時で顔を合わせるまで何故か気づかなかった再会もあり、僕は上手くまた旅のサポートが出来たのだろうかと自分に問う。
シーズンに向けての断捨離も漸く終盤を迎え、また新たに穏やかな気が流れるように家族揃って清掃に追われた。
息子の幼稚園の入学式を終え、だんだん幼児から少年になっていく。
友人の入学式のお祝いに呼ばれたり、久しぶりのおとーりに場に出会したり、まだこの島の文化が引き継がれていて嬉しくもあった。
見上げるとデイゴの花が咲き乱れ、今年も台風に悩まされるのであろうか。

新しい挑戦がまた始まろうとしている。老体に鞭を打ってもなかなか響かなくなってきているけれど、またもう一踏ん張り。
本音を言えば、ゲストや家族の笑い声が風に乗って聞こえ、花や木々が元気に育ち、鳥が水浴びに訪れ、虫たちが今夜もメイクラブに励む。それだけで十分だよね。

僕は此処で待っています。
2017年03月27日
蒼天


今日はなんと澄み切った蒼天だろう。
ゲストを見送りせわしなく動き続けていたので、ふと休憩時間に海をぼ~っと眺めていると見慣れない花が咲いていた。
ずっと咲かないんだろうなぁっと思っていた庭にある桜の木に花がとうとう咲いた。
蕾も沢山付いていてこれからが楽しみだ。
睡蓮もずっと宿の玄関でオフシーズン中も咲き続けてくれて、本当に嬉しい。
素敵な事、また起きるかな?
2017年03月26日
8時10分
天と地の被覆線として幾層にも重なる雲。道端に群れている金色の穂を揺らす風は、もう遙か遠くに行ってしまった太陽の前をまずは低層の雲達から水平線へと流していく。
昨日は南、そして今日は北からの僅かな雨と憂鬱を飽和した蒼空の匂いは、着実に春の訪れを庭に咲くフランジパニに教えてくれる。
孤独に耐性の無い僕は、孤独を追い求め、またその感情を押し殺す為に新しい緑の命をまるで存在の軌跡を残すかのように植え続ける。それでも巷に溢れる、人を人間を人生を花に喩える意味が今でもわからないでいる。
僕は
君をずっと探している。
昨日は南、そして今日は北からの僅かな雨と憂鬱を飽和した蒼空の匂いは、着実に春の訪れを庭に咲くフランジパニに教えてくれる。
孤独に耐性の無い僕は、孤独を追い求め、またその感情を押し殺す為に新しい緑の命をまるで存在の軌跡を残すかのように植え続ける。それでも巷に溢れる、人を人間を人生を花に喩える意味が今でもわからないでいる。
僕は
君をずっと探している。
2017年03月25日
ピアノの音色

大きなデイゴの幹の間にマイマイ。

快晴の今朝、check-in前に客室のメンテナンスで一人部屋で作業していた。
ふっと光が客室に射し込み、窓の外に目を向ける。
穏やかな海に綿飴の様な雲が美しく、しばしベランダで黄昏れる。
スタッフはアジアへと旅をし、子供達は里帰り、今日も独りゲストが外出している間に床を這うように磨き少しでも気持ちの良い空間を作ろう。
夜は夕食から戻ったゲストの弾くとても優しいピアノの音色が鳴り響いている。
きっと植物達も喜んで聞いているだろう。
2017年03月18日
今すぐ!

小雨の降り少し肌寒い日々が一転し、数日は半袖でも暑く車内では既に冷房をかけながら運転している。
島の一周道路では一日に何十台という大型のダンプが東の採石場から取ってきた埋めたて用の石を市内へと運ぶ。今年はもっと大陸からの観光客が訪れる予定で港を拡張・埋めたてして大型クルーザーが寄港出来る様に新設している。またその大陸からの脅威に備える為にと陸自配備が着々と進められている。隣の下地島はまた大陸からやってくるLCC向けの国際空港を建設するという。
そして僕はThink Globally、 Act Locallyともどかしい自分に言い訳を探しながら今日も何年後・何十年後の宿の姿、島の姿を想像しながら新しい木や花を植え続けている。




沢山収穫した貴重な島バナナは熟したらゲストに食べて頂いたりいつも息子達を可愛がってもらってるオバァに差し入れしたり、check-in時の自家製酵素スムージーへと形を変える。
シロアリと塩害で傷んでいたウッドデッキも家族総出で上手く張り替えられ、気持ちの良い空間ですねと早速ゲストから嬉しい言葉を頂いた。
緑と花に溢れ穏やかな気と風が流れる宿となるように今年もしっかりメンテナンスしよう。

息子達も次々と誕生日を迎える。彼らと一緒にいるとよく「○○がしたい!」っと僕にいう。いつしたいのかい?って聞くと決まって「」と答える。
彼らは今を一生懸命に全力で生きている。見渡すとほとんどが皆訪れるか訪れないか定かではないけど勝手に来ると思い込んでる未来の為、もしくは必ず訪れる死に向かって今を生きようとしている。そうだね、今しよう!って僕はそんなことを思いながら出来るだけ応える様にしている。
僕らは貴方を此処で待っています。
2017年01月29日
生まれる・生きる・死ぬ

朝晩は涼しい風が館内を通り抜け、日中は強い日差しにまた半袖で駆け回る。

月齢は新月を迎え旧正月を迎える姿も街で見かける。
澄み切った冬の夜空に沢山の星空を見上げ、また新しい年の始まりに高揚と不安を覚える。
市長選も終え、またこれからも公的資金をつかった公共工事が続くだろう。使い道もわからないまま、インフラや観光誘致という名目で建設業界だけが未だにフル稼働し続ける。何世代も僕らの後にこの島で生きる若者は僕たちの事をどう思うのだろう。
少なからず世界を渡り歩き日々海外そして脅威とされている大陸からのゲストに接している僕は、平和ボケしているのかどうしても自衛隊誘致の理由が未だわからずにいる。これからよりしっかりと時代を見据えていかなければ、誰かを待ち望んでいたりしてもラディカルに日々は変わらない。

車内でヘビロテでこのアルバムが流れている。息子もラッピングを覚え初め歌詞をリピートする。
結婚記念日にとまた島内より嬉しいゲストが来てくれた。島の住民が特別なオケージョンを迎えるとき、僕の宿を選んでくれる事は本当にいつも嬉しくてしょうがない。館内には唄者である奥さんの三線と美しい声が響き渡り、僕は少し離れて蒼空を見上げながらしばらく黄昏れていた。

生まれる・生きる・死ぬ
赤BRAHMA ( ブラフマ )
火と創造の神様 生き物を作る
黒VISNU ( ヴィシュヌ )
水と維持・繁栄の神様 生き物を守る
白SIVA ( シヴァ )
風と破壊の神様 生き物が増えすぎないように破壊する
普段時計や指輪やなど全く身につけない僕はこの三神一体のお守りを頂いた。
貴方が少しでも忙しい日々を忘れ、人々の優しさを思い出し、自然に抱かれニュートラルに戻れる様な空間を作れる様に、今はメンテナンスに汗を流そう。
2016年12月31日
芽吹き

師走、新しい年はもう目の前というのに僕たちは日中はエアコンの電源ボタンを押し、未だに半袖シャツで走り回っている。
仕事柄この一年を振り返りながら物思いに耽るにはまだ早すぎるのだけれど、また今年も素敵なゲストに多く恵まれ色々と学ばせて頂いた。
僕もプライベートでは何度ももうダメだって思う事があったけど、同じぐらいまた人が素晴らしい出来事を運んでくれた。

こんな時代に、こんな時代だからこそって貴方は言うけれど、個があまりにも並列化され意識はしているけれどあまりにも大きく漠然としたモノに僕は常に囚われ、ただただ今僕が出来る精一杯の事に向き合っていこうと言い聞かせながらまた片目を閉じてしまう。
朝5時、近くの漁港から出航する前に東の空を見上げながら覚醒にはほど遠い思考の中で漂う。

それにしても波4メートルウネリ付きの監視業務はきつかった。途中イカとカジキの仕掛けも流したりして少し海の恵みも頂いたけれど、遊漁と漁の違いを肌で感じる時だった。途中同じように木の葉のように揺れながら勇敢にパヤオ近辺で遠くから足を伸ばしてくる佐良浜の漁師達はやはり凄いなぁ。

オフシーズンになると変わらずまた僕は新しい花木を植えたり、種を蒔いたりしている。今回は少しだけ島では珍しい熱帯植物も色々手に入れてまた新しいゲストを迎えようと思う。もう少しで日付が変わる。ゲストと共にまた新しい新年を迎えられることに感謝し、また新しい一年を走り続けよう。
2016年12月14日
変わらないもの

随分と久しぶりにPCに向き合う。
眩しかった真夏をまだ振り返るのは早すぎる気もするけれど、沢山の素晴らし出会いの連続と共に、僕に乗り越えられるのだろうかと思う試練も課せられただただ走り続けた。
僕らの生きるこの時代は未だ争い事は絶える事は無く、でもうすのろな毎日に誰もが精一杯でその憤りはまた弱い者へと容赦なく向けられる。
少しでも僕は追い付きたいと願い続ける先輩は「変わらないモノはないけれど、変わるスピードが違うだけ」と歌い、また別の先輩はこの危ない時代を変えようとアートの世界でロックし続ける。
太陽を仰ぎ月に支配され、星の瞬きに心を奪われながら自身のちっぽけさを噛み締め、こんな年齢になってしまったけれどもう一踏ん張りと言い聞かせる。

後半台風は多かったけれど、木々は随分と生長し、今でも沢山の美しい花を咲かせてくれる。

ある朝、ウッドデッキの睡蓮鉢に水を与えていると、水面から何かゆっくりと顔を出す。鉢の中にはメダカしか普通はいないけれど数秒経ってからそれが蛇の頭だと気づく。そしてゆっくりと身体を水面が出しながら真上の木に登り始める。その昇り龍の様な姿はとても美しく木々の中に姿を消し去って行った。

ウルトラムーンと呼ばれた月夜はまた格別に美しく、ゲストと共に屋上で家族と見上げる。

チャンスがあれば、ゲストと共に花火も楽しんだ。あの花火の刹那的な美しさは湿度の飽和した夏の空気に何故かよく似合う。
お帰りなさいと言えるゲストにも沢山会えてとても嬉しかった。

またこの夏に大切な家族が旅立った。仕事が入っていたので葬儀には自分だけ出られなかったけれど、漸く弾丸で手を合わせに行くことも出来た。島とは違う凛とした冷たい空気が気持ちよかったけれど、やはり寒さに極端に耐性の無い僕は風邪をひいてしまった。

島には次々とまた新しいホテルや宿、飲食店が出来てほとんど敷地から出ない僕はたまに街に出ると浦島太郎の様になってしまうけれど、数ある宿の中からRENNを選んで人生が少しでも交差したゲストの皆様には本当に感謝の気持ちで一杯です。
また僕が想像もつかないようなプロジェクトも始まろうとしていて、また気を引き締めて宿・ゲスト・家族・友を大事に、そしてこの世界と向き合っていこうと思う。
2016年08月24日
RENN







夏はじわじわとやってきて、気がつくと足早に過ぎ去っていく。
ちょっと怖いぐらいに台風が訪れないこの夏をゲストは喜び日に日に黒くなっていくのがわかる。
この夏も膨大なネットの海から宿を見つけて過ごして頂いたゲストには本当の感謝の気持ちで一杯だ。
海外からも今年は多く、ある週はゲストのほとんどが外国の方という不思議な空間に包まれる。フランス語・英語・中国語と色んな美しい言語が館内に響く。またハネムーンのカップルも多く、穏やかな愛に包まれた二人と接しながら僕もほんわりと暖かい気分になる。
花は咲き乱れ、果物も沢山収穫できて、ウェルカムドリンクで作る酵素スムージーは美味しいと行って貰えて嬉しかった。

毎年訪れて頂いているご家族にも会えて、僕が一人check-in時に喜んで対応していると僕に話があるという。
ご家族には娘さんが2人いるのだけど、長女は忙しく毎年は会えなかったけれど、次女はいつも来てくれていた。初めて会ったのは高校生だったろうか。それから高校を卒業して社会人になって毎年変わらず冗談を言いながら共に数日間を過ごした。彼女の両親に「宮古島に泊まる宿は絶対RENN以外は考えられない」と毎回リクエストしてくれたみたいで、本当に嬉しかった。
そして今年のcheck-inの日を迎えて、館内に彼女の姿が見えなかったので外で遊んでいるのかなぁと思っていると、話とは彼女が若くして肺癌で亡くなったという。今回の旅の目的は彼女が大好きだった宮古島の海に遺灰を散灰する事が主だった。
僕は言葉を失いしばらく沈黙してしまった。交差するゲストの人生に責任を持つ、僕は常々そう思っているけれど次にどんな言葉を発すればいいのか呆然としていた。両親はそんな僕を気遣って泣きながら大好きな島でみんな暗い顔してたら喜ばないから、今年も思いっきり楽しませて貰いますと言ってくれる。その夜は久しぶりのお酒を一緒に飲ませて貰った。彼女の笑顔もしっかりと宿に刻まれているよ。

この夏は一ヶ月の間、僕の義理の弟が夏休みの間バイトに来ていた。彼の両親からは簡単な仕事をさせて時に子守でもして貰えばっとのリクエストだった。まだ自分の人生も未来もそして現在も漠然として、日々夢うつつな目をしている彼に「本気でするかい?裏方の仕事はとても大変だぞ?」っと聞くと本気だという。僕は未だに人に生きる術や人生とは仕事とはって教えられる人間ではないから、やるなら全ての業務で僕の仕事を見て貰う事にした。毎朝朝食の2時間前に起き、朝食のセッティング・サービングそしてチェックアウト。それから急いで館内清掃しお昼ご飯が終わる頃とすぐにcheck-inの準備。全てが初めての経験だったと思うけれど、彼なりに一生懸命していた。でもそれはプロとしてはまだまだ中途半端で毎日何回もダメ出しを繰り返した。クタクタになって漸く夕食を食べると釣りに連れて行けという。さすが細胞分裂を未だにしている身体は体力が違う。フラフラになりながら付き合ったり付き合わなかったりで、時に夜空を見上げて僕がもう忘れそうになっていた彼と同じ年頃の経験話しを聞かせたり。
宿題もほとんどしてないみたいだったけど、世界は彼が思っているよりもっともっと残酷で、喜びに満ちあふれ、幸も不幸も人間がもたらしてくれる事をこの島の空と海と太陽と月と共に刻んでくれていたら嬉しいな。
さぁ、これから島の過ごしやすいベストシーズンに突入する。
僕はここで貴方を待っています。
2016年06月28日
2016年06月25日
from the other side

大きな月が東の空から昇った。
僕はいつもの階段に腰を下ろし、君の事を想いながら冷たいコーヒーを飲み干す。そして三脚にカメラを載せてシャッターを切る。
屋上からは風に乗ったゲストの笑い声がかすかに聞こえる。



ツアー参加のゲストがシーズン中は多くなるので、出来るだけ対応するため朝はいつもより1時間早く起きる。まずは館内に風を通し、そして僕は毎日家族そしてゲストの為にある日課をずっと続けている。まだ少し寝不足で意識が朦朧としていたり、顔がむくんだりしている時もあるけれど、それからは汗が流れる度に目覚めていく。
僕の大事な数少ない友人が高齢の為に仕事を引退した。いつかこの日が訪れるとは想っていたけれど、その日はいつだって突然訪れるんだ。近々家に見舞いに行こう。
昼前頃、遊びに外出される最後の一組のゲストが厨房に立っている僕に「このピアノを弾いていいですか?」っと尋ねてきた。調律がもう出来ない僕の様なオンボロなピアノですが良かったら弾いてあげて下さいっと伝える。しばし館内にリバーブのかかった綺麗な旋律が響き渡る。洗い物をクロスで吹き上げながら、ぐっと何故か涙がこみ上げてくる。
チューニングは微妙だけれど、彼(僕のピアノは「彼」らしい)をまた磨いて綺麗にしてあげよう。どうやら毎年訪れるカミュが形容するかの様なここ最近の夏空と気温・湿度で感傷的になってるのかな。

息子も大好きなflorihanaのセージの精油が漸く届いた。

僅かな夢を託したフルーツの苗は少しずつだけど大きくなってきている。いつの日か実がなる日まで大切に育てよう。

プルメリアの花は咲き乱れ、今年はフルーツも沢山実っている。親になったばかりの知人へ母乳がよく出るようにパパイヤが欲しいと言われいくつか持って行く。それにしても積乱雲のコントラストは美しく、空は高い。
僕は今日もここで貴方を待っています。
2016年06月02日
睡蓮


デイゴの花が咲き乱れ、街路樹のフクギはレモン色の花を歩道に落とし優しいカーペットを敷き詰めたように美しい。
やがてレモン色から褐色へと枯れる頃、鳳凰木は真っ赤な花を咲かせ島を彩る。緑肥として育てられた向日葵たちはみな同じ方向を向き、しばし時の流れを色で胸に刻む。この数週間が数ヶ月に感じる様な時もあれば、一瞬で記憶にすらあまり留まらないルーティーンワークに追われてもいた。
夜の回廊にはセバスチャン家族が多数佇み、早朝宿に向かって歩いていると宿入り口に一輪の睡蓮が花を咲かせていた。


未だに台風が発生していない年だけど、年始に挿し木したプルメリアも花を咲かせ、緑に包まれている。台風が花を奪い去って行く前まで沢山咲かせよう。沖縄は既に梅雨入りだけど、いつものように晴れ渡る日々が続いている。
緑の美しいこの時期の島も是非堪能して貰えたら嬉しいな。
2016年05月22日
自立・自信・自由






時に激しく雨は大地を打ち鳴らし、また植物達には恵みの雨となる。
夜は静寂に包まれ、僕をよりいっそう個と向かい合わせる。
世界を舞台に走り続けるある知人は自立・自信・自由を掴む事が個を育てる重要な要素だという。僕はそれに覚悟を付け加えたい。
クローゼットに整理している著者自身から直接送って頂いた様々な本を読み返し、また友人達が出演する舞台や映画を観て、毎回発売する度に最高傑作だと思うCDを鳴らしながら、もう少しまだ僕も走り続けなければと何度も何度も言い聞かす。
僕がどうしてるのかなぁって気になっていたゲストの方々から次々に連絡が入る。シンクロニシティ、本当にこの島ではよく起きる。
大好きなプルメリアの花が咲き乱れ、僕がなんとか島で収穫できないかと試行錯誤しているオリーブやコーヒーの木も大きく育ってきている。
宿の仕事と平行して裏庭に果物の柵をハウスパイプを使って作り始めているけれど、これがまた想像以上に大変な作業で途方に暮れている。パイプはクランプを使って組み立てるだけで良いかなぁって安易に思っていたけれど、台風の事をすっかり忘れていた。
一から基礎を作らなければならなかった。型枠は大きな鉢の底をグラインダーで切り取り型枠とする。コンクリート作りではモルタル・砂利を素手で混ぜていた僕の右手は強アルカリによって溶けてシワシワになる。一日に2個までしか基礎を作る時間と体力は無く、またこれも途方に暮れる。今月は他の用事も含めて何回メイクマンに通っただろう。でもいつか旨いフルーツを皆に届けられたらと思うと途中で諦める事は出来ない。
島で暮らしていると出来るだけDIYで物作りや修理などが出来なければ冷や汗の出る場面にしょっちゅう直面する。春の珍しく冷え込んだある日に撮影の手伝いをまたさせて貰ったけれど、エアコンが不調だった。急ぎだったのでエアコン業者に来て貰ったけれど、僕のコーヒーを飲んで新しいの買えと言って笑って去って行く。急遽埋め込み式エアコンを自分で仕入れ・なんとか取り付けてギリギリ直って暖房が使えた時はホッとした。だから今発売中のヤンマガグラビアの記憶は鮮明に残っている。

この場所がわかる方はかなりの友利通なはずだ。
また梅雨前後の高湿度の期間はとにかく家電が壊れてる。
ガラケー持ちの自分はPCだけはゲストとのやりとりやデザインやミックスダウンなど色んな作業で使うので必須なアイテムとして所持しているけど、またここぞという時に壊れる。それでも直せそうならば直るまで諦めずにらみ合いを続ける。
いつか家電も全部新しくするのが、僕のしょうもない小さな夢である。
2016年05月14日
花火



素晴らしい天候に恵まれ、ゲストも目一杯島を満喫されていた。
新緑が空へと手を伸ばし、敷地内のプルメリアやブーゲン・ハイビスカスと蕾を沢山抱く。
息子は花の蕾を見つけると「花火」と指さして僕に伝える。
僕は「そうだね、花火みたいに美しいね」っと毎回応える。
またあるときは僕に床に寝転べという。彼は碧く何処までも高い空を見せたかったみたいで彼の隣に横たわる。
いつもとは違う視点でいつもの日常の中で新しい気づきを感じることを教えて貰う。
そんな花火の様な蕾はもう今は立派な花となり妖艶な香を漂わせて風に揺られている。




優しい風が吹く夜、ゲストと共に花火をする。

また穏やかな朝の日差しの中、虫取りもしたり。

GWが終わり、久々伊良部に向かい挨拶へと向かう。

本格的な夏を迎え空は日に日に高くなってきている。
ここ最近は急に旅を思いつきRENNに泊まりたいとお問い合わせを頂く。
できる限り急な対応にもお応え致しますので、ご遠慮なくお問い合わせください。
僕は貴方をここで待っています。
2016年03月29日
えんぎがいい










冷え込んだ大気に包まれていた中で時折見せる太陽の温もりを目指し、新緑・新芽・蕾が顔を覗かせる。蛍はゆっくりと館内を飛び交い、ヤモリの鳴き声が響きそれはまるで夏の足音が少しずつ聞こえてきそうだ。
久しぶりに穏やかな快晴の空の下、僕は息子とインギャーに向かって歩いた。
ゲストの他にも色んな方がいつもの様に突然訪れた。僕に好奇心を抱いたのか何度か話しをしようと電話を頂いた方とコーヒーを飲みながら「君は次に何をしたいのか?」っと聞かれてしばらく考えてしまった。またとても冷え込んだ朝には撮影の仕事の手伝いで薄着のまんまカメラのレンズに笑顔を映すまだまだ幼い面影を残す女性のプロフェッショナルな意気込みに感嘆する。島の新聞には色んな変化を今後及ぼすであろう大きなプロジェクトが次々と予算計上され議会で可決される。いつだって僕らが知るときにはもう何もかも決議された後だ。この島で、日本で、星で、どういう生きる術を身につければ次の世代の子供達は生き抜けれるのであろう。

そんな事を片隅で考えながら息子は目指すウガン山の頂上にある牛のオブジェに向かい急な階段を僕の手も借りずに登っていく。もうすぐ2歳になる彼は考え事をしてる僕を見透かしてか展望台の椅子に腰かけ隣に座れという。僕らは少し肌寒くなった風に吹かれ海を眺めた。しばらくの沈黙の後彼が「綺麗だね」っと笑いながら僕の顔を見る。僕は「そうだね、ずっと綺麗でいて欲しいね」っと応えた。自宅に戻り彼が絵本を読んで欲しいと僕に持ってくる。タイトルは「えんぎがいい」。こんな本何処にあったんだろうっと思いながらゆっくりと読み聞かせる。その夜そんな頼もしいバディを片手に抱きながら、僕は分娩室に駆け込み、新しい命の誕生を共に見届けた。

そして僕はまた父になった。
2016年02月29日
永遠が終わる日

人は魂を永遠というが
あなたが生きる今は永遠にもどらない
あなたが愛する人 あなたを育てた親
すぐ抱きしめなければ 永遠に悔やむだろう
そう、永遠が終わる日
新譜CDのジャケットデザインを夜中一人PCに向き合い作り続けている。
ふと歌詞カードのデザインを眺めていると五行の歌詞が目に付く。
永遠が終わる日、それは毎日の中で幾度とあり、誰しも気づいても気づかなくても必然にピリオドが打たれる。後悔するのはいつも終わった後。
人生とは本当に悲しい程に刹那的だ。そして刹那的に歓喜に満ちあふれてる。どちらを選ぶのも僕次第。
2016年02月22日
2016年02月18日
祈り・鳥の囀り・鏡面の海と時々ミサイル


凛とした冷え込んだ大気に包まれ、僕はゲストを送り出す準備をしていた。
一斉に聞き慣れないアラームが鳴り響き、町内放送では屋内避難の指示を繰り返している。
いつもの屈託のない空の上をミサイルが飛び越えていった。
夜は何事も無かったかのように星は煌めき、真っ青な空の朝を迎える。
海は鏡面の様に静まり帰り、鳥の囀りが余計静かに感じさせる。
息子は無邪気に僕の名前を庭から呼びながら爺さんと婆さんの間を走り回る。
昨年の夏、訳あって一人暮らしを続けていた父が体調を崩していたため島に呼んだ。
同じ便の搭乗者達はとっくの昔に到着ロビーから姿を消し、それでも姿を見せない父を母は心配していた。数十分が過ぎ、必至に壁伝いにゆっくり一歩ずつ足を踏み出し、僕らが見たことの無いほどにやせ細った父がフラフラと到着ロビーに現れる。いつも小綺麗にし皺一つ無いスラックスを身にまとっていたズボンは小水を垂れ流した為か濡れていて、自宅玄関に着いた時には一人ではもう立てなかった。それから数週間、規則正しい生活と食事で少し歩ける様になり一日一回外に散歩に出かけられるまで回復した。その日は僕は朝食の準備をしながら父が散歩に出かけるのを宿から遠目に見ていた。30分ぐらいたった頃、近所の年配夫婦が館内に突然現れ、父が道で倒れていると伝える。車道の隅で低血糖を起こした為なのか、アスファルトに倒れ頭からは血を流して意識が朦朧としていた。自宅に連れ帰り家族に様子を見て貰うよう頼み、僕はまた宿の仕事に追われ数時間経った頃に漸く家に戻る。状態を聞くと父はトイレで何度も吐き続けているらしい。
僕はすぐさま脳外科がいる病院を調べ車に乗せた。長い長い検査の後、案の定脳内出血を起こしていた。言語障害や身体の麻痺など後遺症が残る可能性が高い事を指摘され、まずはしばらく絶対安静と告げられる。僕よりは通常早く訪れるであろう親の死、また死ななくとも後遺症が残った父の介護の問題など常に頭の片隅で意識しながら生活する日々が続き、時間が合えば幾度か僕も定期検査に連れて行った。僕は毎日一杯だけ自家焙煎のコーヒーを父に入れ続ける。一人暮らしをしていた部屋の後処理、父の療養食を別にまた作らないといけなくなった母の負担、湯水の様に出て行くお金達。僕はこれまでの人生、逆境に堪え忍ぶ力は培って来たつもりではいたけれど、必ず家族で乗り越えられる事態だと言い聞かし祈る。静かにただただ祈る。4ヶ月の月日が経ち、最後のMRIの検査が終わった。左頭部から後頭部の内出血は吸収され、これだけの内出血を起こしながら後遺症が残らなかったのは奇跡だと医者に言われる。今後も血糖のコントロールをしっかりしないといけないけれど、一合程度の大好きだった焼酎も解禁になった。その夜は僕は宿からとびっきりの旨い焼酎を渡し、父は今後一日に一合以下と決められた焼酎を旨そうに飲み、赤い顔をしながら嬉しそうにこれで漸くぐっすりと眠れると言う。
何でも無いような平凡な日常がいつまで続くかは僕もわからないし、時代と人は変わらず権力やお金にこれでもかと執着し毎日は変化をし続ける。
孫と散歩に出かける彼の後ろ姿を見て、また一日一日誰かの為に精一杯生きようと僕は汗を流している。
2016年01月25日
ラグジュアリーとは・・・?

外気温が10度以下になっていく。
慣れ親しんだ島の空気はカラカラと音が聞こえて来るぐらいに冷たく乾燥し、そして気温が低くなるにつれ僕の身体も思考もだんだんと鈍くなっていた。
与那覇湾では魚も仮死状態で浜に打ち上げられたようだ。
救いはまたすぐに25度近くの夏日が近づいていることと、数年前に実験的に島内の数カ所に植えたオリーブに花が咲く可能性が出てきたこと。
寒波が来る前日まではしばらく暖かい日々が続いていたので、貸し出し様釣り竿を片付けるついでに20分程インギャーで久しぶりに魚釣りをしようと出かけた。
3分でポイントに到着し仕掛けを投入、こぶりだけれど次々に魚が釣れる。
釣った魚を足下においていると猫が瞬く間に魚を咥えていく。漫画でしか見たことのない光景に思わず吹き出し、僕は猫に「カワハギは食べにくいぞ!」っと呟く。
すぐにアイゴの型の良いサイズが釣れると、一目散にカワハギを見捨ててアイゴをまた咥えて走っていった。僕は猫に「アイゴの棘は刺さると痛いぞ!」っと呟いたけれど、もうすでに猫の口は血だらけでホラーの領域に突入していた。

島の中には年が明けて大きな未来にかかわるニュースが多く駆け巡る。
全日空も羽田・大阪から島へ直行便を飛ばす事が決まる。
伊良部島にまた三つ目のラグジュアリーホテル建設が決まる。
高級志向はまだまだ需要があると見込んでか、池間島・来間島にも建設予定と聞く。
どれだけのハード面を洗練されたモノで作り込んでも、島の自然とそこに住む人の魅力を同等に両立させなければ人はまた次の島を探しに行くだろう。
冷えきった小さな僕の寝室で丸くなってゴロゴロと音を立てているタビーを撫でながらそんな物思いに耽っている。