2008年06月22日

花の名


僕達は笑い死にするくらい、発展性も未来も無いようなくだらない会話だったけど少年の様に何の屈託もない笑みに包まれていた。
乳白色の月が太陽に照らされ、東の空からゆっくり南の空へと登っている。
南海岸そしてインギャーは淡いそんな月明かりに照らされ、水平線の彼方まで海上に一線の光の道を作り出している。
楽しい宴はあっという間に過ぎ去り、時計はもう既に新たな日を刻み始めている。
僕ら4人はオート三輪に乗り込み、海岸線を七又方面へと走らせる。
南風は優しく頬を撫で、虫達は絶命すら厭わないかの様に月、波、風と共鳴し、この夜に捧げているかのようにすら感じる。
潮汲場に着いた僕たちは、月明かりだけを頼りに断崖のエッジへと一歩ずつ足下を確かめながら歩いた。
同じ月を僕らは見上げ、僕ら4人の影は太陽に映し出されたかの様に足下から伸び、もう誰も口を開いて話そうとはしない。
後ろには風量発電の2基のプロペラがゆっくりと南向きに廻り、プロペラが風を切る音が一定のリズムを保ちながら聞こえてくる。

どれだけの時間が過ぎ去ったのだろう、未だ言葉を発せずとも皆一緒に停めてあるオート三輪へと向かう。
僕は運転席に座り、キーを差し込みイグニッションを回す。
「プル・・プルル・・・・・・」
メンテナンスを怠っていたせいか、バッテリーが上がってしまっている。
幸いここは坂が近いから、皆で押しがけしてエンジンをかけてみよう。
少し坂を後ろ向きに登らせ一斉に4人で押すと、勢いよくオート三輪は走り出し、僕は運転席に飛び乗りギヤをセカンドにシフトする。
しかしエンジンがかかる様子もなくまた同じ位置に戻ってきてしまった。
まだスピードが足りないのかもしれない。時間も深夜だし次にトライしてダメなら応援を呼ぼう。残された一番の急勾配は崖に向かった10メートル程の短いアスファルトだ。
ゆっくりと皆で方向転換をさせ、このラストチャンスに賭け合図と共にいっせいに押した。
オート三輪はスピードを徐々に上げ、残り2メートル程の所でもう一度ギヤをニュートラルからセカンドにシフトする。
それまで機嫌の悪かった彼女は夜の静けさを打ち破るように勢いよくエンジン音を響き渡らせた。
「やった~~~!」皆が一斉に子供の様に叫んだ。






さぁ梅雨も明け、2008年の夏がもう既に始まっている。


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Posted by padoma at 00:05Comments(0)TrackBack(0)独り言

2008年06月14日

落ちるな! 3steps to catch


仕事も終わり深夜屋上に上がり、海に向かって腰を下ろし今日の一日を顧みる。
遠い水平線の向こうには大きな船の灯りがかすかに見え隠れし、北へと追い風にのって北上しているのであろうか。
蛍の冷光が2つ、宿の敷地にゆっくりと降り立つ。
東の空では雷雲が空をゆっくりと浸食しはじめている。
それはゼウスの悪戯か、雷獣の羽ばたきの為か、稲妻がフラッシュライトの様に辺りを照らしては消え、その後3万℃にも達した空気は、膨張し真空状態となる。そして衝撃波と冷たい空気が流れ込む際の振動とによって虫達の鳴き声・波音しか聞こえない静寂を破る轟音を残す。
今はまだ頭上を覆っている今にも落ちてきそうな満天の星空を少しでも見上げていよう。

近所のオジィは最近忙しいみたいで、ここ二日ほど空き時間が2時間だけでもあると時化気味の南海岸へ一人竿を持って黄昏に行く。
自分にとって南海岸とはイムギャーを中心に西に上野ドイツ村から東へ保良までを意味するのだが、釣りに関しては七又から保良までの隆起サンゴ礁の断層海岸を意味する。
高さ30メートル前後の切り立った断崖が海へと垂直に落ち込み、その断崖の先端に腰を下ろし遠投竿を打ち込む。
高所恐怖症だった自分にとっては未だ慣れない釣り場なのだが、その恐怖よりも自然の壮大さに圧倒され自身の存在のちっぽけさを再確認してくれる今となっては必要不可欠な場所になっている。試行錯誤を何度も繰り返し根掛かりしないように仕掛けを改良し続け、釣れる潮廻りや時間帯、気圧の変化なども頭の中にインプットしてきた。
釣れそうな条件が揃うと、この断崖からの釣りには3つのステップが必要とされる。
まずは根掛かりの少ない50メートル以上先の半径3メートル程のポイントに餌を打ち込み、アタリがあれば数メートル走らせた上で確実にフッキングさせドラグを少し締める。
魚はとにかく根に突っ込んで逃げようとする。ドラグはこれ以上締めると自分の身体ごと海に持っていかれそうになるぎりぎりに合わせてある。何度かの突っ込みに耐えて漸くリーフの上まで浮かせる。
2番目のステップは30メートル程ある浅いリーフの上を足下まで魚を寄せていく。
上手く魚を浮かせリーフの上まで引き寄せると眼下にその大きな巨体を現し、何の魚なのかだいたい目視出来るようになる。ただリーフには切れ目が縦横に走っており、体力のある大きな魚は何度でもその切れ目に逃げこもうと最後の力を振り絞って抵抗する。
それも上手くかわしたら残るは最後の3番目のステップのみ。
普通ならこの時点で残すはタモで掬ってガッツポーズと行きたいところだけど、ここはそんなに甘くない。
足下まで寄せるだけでも相当に体力を消耗してロッドを持つ手、リールを巻いている右手は感覚がなくなりかけている。
足下まで寄せた魚を今度は30メートル上の絶壁頂上の釣り場まで引き上げなければならない。その際に絶壁のぎりぎりの所まで身体をせり出さなくてはならない。
それから真っ直ぐに手を伸ばし、道糸を竿からたぐり寄せ、竿は邪魔にならない場所に置く。ここからが最後の勝負だ。
海面まで伸びている道糸をゆっくりとたぐり寄せると、突然に両腕に負荷がくる。
魚が海面から少し浮いたからだ。大きな魚だと五キロ以上はたいがいあるだろう。最近は活性が良いのか片手で持てない程の魚が多くなってきた気がする。
渾身の力を振り絞って右手でゆっくり引き上げながら左手は巻き上げた糸が手から滑り落ちないようにしっかりと掴んでの繰り返し。何十回と繰り返すなか、糸が断崖に擦られているのがわかる。風速10メートル近い風が全身に打ち付け、足下で砕けた波のしぶきが数十メートル上の断崖ぎりぎりに立つこの身体までも濡らしている。
「あと数メートル、もう少しだ」っと自分に言い聞かせた瞬間ふっと道糸が切れ、呆然・放心・絶望感に襲われる・・・・・
魚に近いハリスや道糸はこれまでのファイトの中で充分過ぎるほど根やリーフに擦られて傷ついていたのであろう。そしてすぐ足下の岩によって儚くも切れてしまう。

おじぃや友人にここ最近の話をすると「落ちるなよ!魚よりも命が大切だ!」っと叱られてしまう。餌代400円、ガソリン往復500円弱、自分の命プライスレス。
判ってはいるけど、あぁ~止められないだろうなぁ・・・・・・

自らデザイン監修したサンドストーンによる両面レリーフが出来上がった。また2つの睡蓮鉢には色とりどりの熱帯睡蓮を入れて育てている。
睡蓮たちも真っ直ぐに凜と優しい花を咲かせ、共にお客様をお迎えするだろう。


宮古島のホテルはプライベートリゾートホテルレン
  

Posted by padoma at 23:23Comments(2)TrackBack(0)独り言

2008年06月10日

violate the border


正気と狂気、狡さと弱さ。
心のわずかな隙間が、惑乱さする未来を面憎い程に引き連れてくる。
今夜も数知れぬ命がニュースやテレビで報道されることなく、人知れず消え去っている。
人は囁く。
そんなにも苦しいのなら時には恥もプライドも捨てて、逃げればいい。
それに妥協も必要だと。堕ちたら大地が受け止め、人生いつ何時、またやり直せると。

明日の太陽を信じられなかった儚き人達は、自らの命と引き替えに何の光を手に入れたというのか?



「お前、泣いていいんだよ」

「いや、まだ、まだちゃんと生き抜いていないから間際まで涙腺を縛ってあるんだ。最期に泣き笑いするためにな。」

「泣くから笑えるんだ。泣かなければ心から笑えない」

「陰陽・清濁・天使と悪魔、確かにそうかもしれない。その時が来れば栓も吹っ飛ぶ程勝手に溢れるだろう。」

「いや、準備がそれでも必要なんだ。例えば許す事、自分を、そして人を。」

「時に利己的で欺瞞と偽善に満ちた言葉であり、また決して充足する事の無い人生を安逸し、結果的に不遇や厄難を受諾するための受動的防衛本能に回帰しているだけじゃないのか?」

「確かにその時点では能動的とは言えないかもしれないね。ただ肝心なのは受け入れ許したその後に用意されている包みなんだ。まずその包みに気付き、蓋を開く一握りの勇気が必要なだけ。」

「結局この瞬間、そして前後を照応して今を生きろという陳腐な答えなのか?」

「陳腐な答えではなく、それがこのわずかな人生の中で人間がこれまでに学んだたった一つの真実なんだ。」

「自然淘汰される場合はどうなる?」

「淘汰される瞬間までは、結局みんな一緒なんだよ。」

「心の声を聞け、そして行動しろか・・・・・・・ それだと犯罪者も聖職者も結局は何も変わらないじゃないか?」

「論点をまた外そうとしてるな。ほら、先延ばしにしている事あるだろう?それからまずは片付ければ?」

「ただやけに今夜は蒸し暑いな。」

「言い訳をしないで、さぁ。」

「最後に、一つだけ明日をこの自分に約束してくれないか?」

「この瞬間は間違いなく約束するよ」

「そう言うと思った。」

「笑っていいんだよ、今は。」













宮古島の宿はプライベートリゾートホテルRENN  

Posted by padoma at 01:33Comments(0)TrackBack(0)独り言

2008年06月01日

TIPSY,TOO??


メンテナンスの為にここ2日程、屋上テラスで一人作業をしていた。
テラスでの作業は梅雨時期と言っても日が射すとさすがに照り返しも強く、時々脱水症状の為か意識が朦朧としてくる。眼下には台風の影響だろうか、イムギャーのリーフエッジに打ちつけるダブルヘッドオーバーの大きな波が、クリームソーダのアイスクリームとソーダ水の境界色の様なグラデーションを醸し出している。
とにかく今は全身が真っ赤に日焼けして動くのも痛い。
気休めにバイタミン剤を飲み、少しでもシミが残らない様にあがいてみるがもういい歳なんだからと友人達からは笑われ、う~ん・・・・この稼業はこんなにも日焼けしてしまうものだろうか?

先週末は島内がミュージックコンベンションで盛り上がっていた。
お客様も部屋に戻られ一段落したので、自分も市内へと車で向かう。
23時過ぎの西里の路地裏は、観光客や地元の若い子達がほろ酔い加減でおしゃべりをしながら練り歩き、夏祭りの様に賑わっていた。
道ばたで客引きをしている年季の入ったネェネェ達を横目に歩き、寂れた繁華街の側溝からは湿度の飽和した大気へと蒸し返すヘドロの臭気が辺り一面を漂い、その臭気から逃れるかの様に知人のライブハウスやクラブ・飲み屋をハシゴしていた。
時間が経つにつれ仲間達の人数も増えてきて、最後にはいったい何人の人数が小さなストレートグラスを片手にジン・ウォッカ・テキーラと次々にボトルを空けていったのだろうか?まっ、たまにはこんな夜もあっていいか(笑)

週が明け、3時間程の空き時間を見つけ黄昏時にカーエー狙いで久しぶりに一人久松で釣り糸を垂れる。
犬の散歩や釣り人の様子を伺いに来る久松のオジィ達と話をしている中、一匹の超特大カーエーを釣り上げた。カーエーの引きは独特で強烈に底へと突っ込んでいくので、自己最大記録となるこのカーエーとのファイトは本当に楽しかった。その後も生け簀に入れたカーエーを見に皆が集まってきて、「上等だぁ、こんな大きなゴマは見たことがない!」っとまで何人にも言われたのでついついひょっとして県記録??っとまで思ったが計ってみると県記録に4センチ足りない48センチ・2.3kgのよく太ったカーエーだった。
自宅での消費にはあまりにも大きすぎたので、半身はご近所さんに配ってくる。

さぁ、釣りはここら辺で一時中断、やらなければならないことが山積みになっている。
老体に鞭を打って、また歩き続けるとしよう。



宮古島での宿はプライベートリゾートホテルRENN
  

Posted by padoma at 23:28Comments(3)TrackBack(0)独り言