› 風・月・太陽を仰いで インギャー便り › 2008年03月2008年03月28日
Reign Over Me

深夜遅くまで屋上から南の海の上に浮かぶ月を見上げていた。
満月の明るさほどでは無いにしても、月明かりが海面に照らされ一線の光の筋となり、今日と明日を繋ぐ架け橋の役割を担ってるのか、この光を目指せば明日に辿り着くのだろうかと思ってしまう。果たして月の光は太陽に、明日を皆に約束してくれるのだろうか?
月光浴が出来そうな夜は、インギャーを中心に南海岸線沿いの道路をゆっくりと車やバイクで走らせると、蛍光色の残像を残しながら飛び交う蛍が流星の様に夜空に舞い、今では個体数の大分減ってしまったヤシガニは車や人を気にすることなくゆっくりと道を横断している。何かに出会さない日は一日も無い程夜の主役達は貴方の為に準備をしている。
今年の夏の夜の演出を、この自然・宮古島はどの様にプランニングしているのであろうか?
2008年03月25日
art of fish

水面近くをアバサーがゆらりゆらり泳いでいる。
先程まで直射日光とアスファルトからの照り返しの為か、ぬるま湯の様になってしまった海水を入れたバッカンの中で、彼はつぶらな瞳でちらちらとこっちの様子を伺い、そしてちょっととぼけた顔をして泳いでいた。
「家に、帰るか?」
そう呟きながらゆっくりと海水と一緒に海に戻すと、ずっと水面から離れようとはしない。
何をぼけているのか、また近寄って来るではないか・・・・
身体にしては小さすぎる右側のヒレだけを一生懸命に回し、よっぽどの嬉しさをアピールするかの様にひたすら左回転を繰り返し続けている。
お前がイルカなら多少絵になるかもしれないが、アバサーだからなぁ・・・・
その海のフォアグラとされる濃厚で大きな肝ほど、脳は発達しているんだろうか・・・
「お~い、いつまで回ってるんだい?お前そんなんだから、買い物袋の白いビニールの一片と引っかけ3本針だけの格安最低限だけの釣り道具で何十匹も釣られるんだぞ!」
思いが届いたのか、漸くスピンの速度が緩まり、海底へ向かって泳いで行った。
30分以上もアバサーとのくだらないやりとりの中で放置されていた水面で立ちつくしている1号ウキは、大海原に出陣していく漁船が横切る度に、押し寄せるウェイキに揺られていた。
仕掛けを回収すると餌のエビは半分程しか無くなっていた。
糖蜜にまみれたオキアミのしっぽから頭へ、ゆっくりと10号針を通していく。
それにしても暑い、日焼け止めクリームを持ってくるんだった・・・・
その時わずかにウキが沈み海面に水紋が円形状に広がっていく。針が根に触れたのか、それともまた石田純一君か・・・(餌取りの一種で何故かおじぃあの小さい魚をこう呼んでいた)
ゆっくりと糸ふけを巻き取り、ウキの先端を見つめる。
3ミリ、いや5ミリぐらいだろうかウキが沈んだ様に見えた。
そう思った瞬間に根掛かりでもいいやって思いながら力の限り3号竿を立ててみた。伝わる感触は重い。
「はぁ~また地球を釣ってしまった・・・・」
っと思った瞬間道糸が急に横に走り出す。
根掛かりではない、フッキングしたんだ。
この強い引きがもし奴なら強引にでも勝負して引き上げるしかない。少しでも躊躇しているようなら、奴は容赦なく海底へとつっこみ竿はのされ、根ずれで8号ラインを簡単にぶち切って行くだろう。
それにしても重くてリールが回らない。
目の前3㍍程の距離にウキ下6㍍ほどのタナ設定だったはずだが、こいつを抜けないのか????
幸いいつもの2号竿より、今日の3号竿の方がパワーはあった。慎重に竿を立て道糸を巻いていく。
水面下で一瞬姿をみせた白い美しい身体が反転し、また海底に突っ込んで行こうとする。
とりあえず海面に口を出して空気を吸わせておとなしくしてやろう。
次にどうやれば奴を上げられるのか、考えなくては。
こういう時の為にタモをいつも買わなくちゃと思いながら、釣具店で躊躇してしまう自分が情けない。
またいつものハリスをたぐり寄せて、口が切れないよう祈りつつそっと上げるしかないのか・・・・
5分後、全身汗まみれになりながら唇の皮一枚でどうやら上げたらしく、地面に下ろすと同時に針が口元から簡単に外れ落ちた。
それにしても姿の美しさに惚れ惚れしてしまう。
ありがとうなぁ、カーエー。
ありがとうなぁ、海。

2008年03月25日
a lost expression

車一台通れるか通れないかぐらいの細い路地裏に、吸い込まれるように迷い込んだ。
「あぁ~また行き止まりか・・・・・」
幾度となくこの言葉を一人車内で呟いたであろうか・・・・・
輪行使用の確かユーラシアとかいう軽量自転車で野宿を繰り返し、九州の隅から隅までキチガイの様に走り回った中学生は高校になると同じ2輪の火を噴く鉄の塊にまたがり、学生になればキャンバスを次はスケートボードで滑っていた。
そしてついに自動車を初めて購入し、初めてエンジンキーを回した時はまるで成人式を迎え大人の仲間入りをしたような、おかしな感覚だった。
車を何台も乗り換えても未だに右足のつま先に少し力を入れ踏み込むだけで100キロ以上のスピードで動き出すこの乗り物に、どことなく違和感を感じて続けている。
勿論不精なこの年齢になると車無しでの生活は考えられないのだが、それにしてもいつも細い路地に迷い込む。
いや、自ら自慰的感覚を元に、勝手な冒険心に火を付けて飛び込んで行くのであろう。
その冒険心のおかげで、アメリカやメキシコでは何度危ない目に遭っただろうか。
またその反対に良い想い出もある。
カンボジアやタイ・インドネシア・そしてヨーロッパでは迷い込んで抜けれなくなると、必ず誰か声をかけてくれた。
多分あの迷い込んだ路地裏にはもう2度と行けないんだろうな。
道を挟む民家はコンクリートブロックがむき出しに汚れてはいるが、でもそれはとても何処か懐かしく、そこで生活してきたモノや人達を守り続けた風格さえも力強く感じられた。
わずかな土地の四隅に植えられたフクギや椰子達は容赦ない紫外線から逃れる陰影を醸し出し、ゆらゆらと揺れている。
車をこすらないようにゆっくりとサイドミラーを右に左に確認しながら突き進むと、老人が道に錆び付いた鉄パイプで出来た丸イスに座っていた。
ほとんどアイドリング状態にスピードを緩め、ゆっくりと横を通り過ぎる。
あっおばぁ~だ。
胸には三線を抱き、黄昏色に染まり始めた路地裏の道で、しょっぱい顔をしながら未だ自分の理解できない言葉(方言)で歌っている。
そしておばぁはピックを片手に3本の弦をがむしゃらに掻き鳴らし、自分が通り過ぎた後も泣くような声でシャウトし続けていた。
それは一瞬の記憶の断片であるが、おばぁのブルースは本当の意味でブルースだった。
15年程前スーパーヘビィ級の体格を持ち合わせた大学講師だった黒人のマークは、ボクシングジムのリングサイドでAfrican Americanの歴史からブルースの定義、そしてそれを日本人である自分が歌う事の意味を延々と説いていた。
そして今彼に向かって呟いた。
「what's up bro? ここにもブルースメンがまだいるぜ」
インギャーの昼過ぎは干潮。
リーフには家族連れで潮干狩りを楽しむ人達が一杯。
少し出遅れたけどインギャーの海の恵みを沢山頂きました。やっぱりサザエはリーフエッジに集まるみたい。
宮古島でのお泊まりはプライベートリゾートホテルRENNへ
2008年03月22日
2008年03月17日
2008年03月13日
月に惹かれて

南風に吹かれながら、久しぶりに少し錆付いたバイクで海岸線を走る。
長くガレージに眠らせていた彼女は機嫌が少し斜めなのか、ギヤをシフトしアクセルをひねると少し遅れてチェーンからタイヤそしてアスファルトへと駆動が伝わり、それは最後にはシートへと不機嫌な反動がコツコツと返ってくる。
向かい風もこの時期になると優しく未だ見ぬ明日への儚い囁きと共に頬を撫でて通り過ぎる。
男は速度を落としながら両足を地面にそっと滑らせながら下ろし、ポケットからソフトボックスの煙草を取り出し箱の端を数回人差し指で叩くと、フィルターが少し顔を出したマルボロをつまみ上げた。お気に入りのターコイズブルーが埋め込まれたジッポを机に置き忘れたのに気づき急いで他のライターが無いか身体中のポケットをまさぐり始める。
ブーツカットのはき慣れたジーンズの右ポケットにターボライターが一つ見つかると、少しだけ口元を緩めながらゆっくり丁寧に着火ボタンを押し、よく肉眼では見えにくい青白い炎でねじれた煙草の先を炙ってみる。真っ白な煙が碧い空へ揺らぎながら漂い、ふっと眼下に見下ろすリーフに目を向けてみる。
「そうか、今日は大潮なのか・・・」
潮は月に惹かれ、珊瑚は既に半分ぐらい水面から顔を出し始めている。
衝動と共に気がつけば純白の珊瑚の亡骸のビーチの上に立っていた。
なんのためらいもなく水上をまるでそれは歩くように、そして色とりどりのイソギンチャク・珊瑚を踏まないようゆっくりと次のステップを確かめながら海面をリーフ際まで歩いていった。
先端に辿り着いたとき、海に咲きほこる海中の花に囲まれ、深く深呼吸をしてそっと目を閉じた。
何故か一滴の涙がこぼれ落ちる。
「ありがとう」
全ての生きとし生ける物へ、そして遠く離れた貴方へ。
お返しに心からの歌を一曲送ろう。
みんな立ち続けてくれ。
2008年03月05日
第四十五章

大成若欠、其用不弊、大盈若沖、其用不窮。大直若屈、大巧若拙、大辯若訥。躁勝寒、静勝熱、清静為天下正
たしか老子の言葉だった記憶があるが、最近何故かふっとこれら言葉を思い出す。
最後の三行は人によって解釈の違いがありそうな感じだよね。
今回は数人の宮古島の経営者達と話をする機会に恵まれたけれど、その中である60過ぎの年配の社長が「俺に逆らえば宮古島内ではいつでも誰でも潰す事が出来る」といとも簡単に何かの拍子に自慢げに言葉にしたのは、聞いていてとても切なく悲しかった。彼の家族そして社員はどういう気持ちで彼に接し、何の因果・業を背負っているのだろうか?そして彼自身は救済を必要としているのだろうか?
また用意周到に計画してきたあるプランが悪魔の悪戯かそれとも神の救いか、ある一人の一言ですべてがひっくり返されてしまい途方にもくれていたっけ。
幸いインギャーのリーフ近くの珊瑚と魚達、そしてパルスでの有意義な時の流れが自分をリセットしてくれた。そして久しぶりに朝まで語った気がするよ。
そして一気に現実に引き戻され弱気者を守り、強気者に立ち向かう。たしかに相手が強大であればあるほど本能的にこの脳は活性化し研ぎ澄まされるのだか、上手く共存の道を選ぶことは出来ないだろうかとまた考えもするよ。それは言葉を変えれば逃避なのだろうか・・・・
自分はラブ&ピースに森羅万象を黙って全て受け入れ生きていたいだけなのに、どうしてもじっとしていられなくなる。
そんな自分は偽善者なのかはたまたピエロなのか、ただ今回は上手く戦いを避ける事だけは難しそうだなぁ。
まぁ望む夢や幸せに向かい、少しでもその具現確率が上がるように今は今出来る事を全力を尽くすしかないよね。





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